富士山を楽しむ!富士登山電車と下吉田駅
『富士急行線開業80周年を迎えた2009年。これを記念して、富士五湖に新たな名物が登場しました。1つは、九州新幹線「つばめ」など数々名作を世に送り出す工業デザイナー、水戸岡鋭治氏のデザインによる「富士登山電車」。もう1つも、水戸岡氏デザインで、昔ながらの雰囲気を残しつつ、21世紀モダンを感じさせる駅、「下吉田駅」。この2つは今や、富士五湖観光に欠かせないアイテムになっています。』
「富士山に一番近い鉄道」 富士山登山電車
『富士急行線は沿線の恵まれた自然に育まれ、地域住民や観光客に便利で優しい交通アクセスとして親しまれています。この路線には、斬新なコンセプトの観光列車があります。その名も「富士山登山電車」。外観は80年前の開業当時の雰囲気を彷彿させるさび朱色で、歴史と伝統を感じさせるたたずまい。内装は、ベンチ、ボックス席、ソファ、ベビー用席など多様なニーズに合わせ、サービスカウンターやミニギャラリーもあります。すべてのデザインに優雅な富士山の曲線美を配し、竹製のロールブラインドや木製の荷物棚、フローリング床など、細部に至るまで自然素材にこだわった新感覚の列車です。車両は「赤富士」と「青富士」の2両1編成、大月〜河口湖間約26.6キロを結びます。』

ヨーロッパの田舎駅を彷彿させるレトロモダンな下吉田駅
『下吉田駅ができたのは昭和25年。2009年のリニューアルでは、その当時の新しさと驚きを、再び感じ取ってもらえるよう、レトロな味わいを生かしつつ、21世紀モダンの駅にリデザインしました。そのため、駅舎本屋のシンプルな構造と腰板や窓枠の色調はほぼそのままに残しつつ、吹き抜けには、天井画を大胆に配置。長野県小布施町にある葛飾北斎の「八方睨み鳳凰図」を水戸岡氏自身が写し、アレンジした線画で、富士山が「かくし絵」として描かれているとされる縁からも、富士の麓の駅にふさわしい装飾と考えました。壁面には同じく富士の絵を配し、その下に同じく富士の稜線をイメージしたベンチ。他に柄モケットのベンチや小椅子、中央の柱部に照明具を付けたセンターテーブルなど家具類も、画一的な「駅の備品」にはないゆとりある雰囲気をもたらしています。ホーム上の古い構造の下に、シンプルなガラス箱でつくった待合室を配し、近景の桜並木や遠景の富士山を居ながらにして楽しめるように設計。レンガの床、木の家具や造作、布ののれんなど、素材の多くはエコ素材を使っています。 駅はその昔、列車に乗り降りするだけでなく、ここで人と出会い、待ち、触れ合う社交の場でした。下吉田駅では昭和初期の時代にタイムスリップして、昔ののどかな富士五湖の懐かしさが実感できます。』

- 水戸岡鋭治氏(ドーンデザイン研究所主宰)
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JR九州の新幹線「つばめ」や特急列車、和歌山電鉄貴志川線の「たま電車」などのデザインを手がけてきた日本屈指の工業デザイナーです。今回の「富士登山電車」は、東日本における鉄道車両のデザインとしては初めての作品となります。

